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2021.12.18 (sat) 16:00, 19:00 || 2021.12.19 (sun) 14:00, 17:00 || @YOYOGI PARK STUDIO
Yuzo Ishiyama / A.P.I.
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PRODUCTION NOTE-09
12/13 昼間はテクニカルのスタッフに、細かいポイントをいろいろと確認する。トラブルなくプロジェクトは進みそうなので、逆に気をつけねば、と思っている。自分はこういう時にこそケアレスミスをしがちなのだ。 今日の稽古場は、あまりにフロアの状態が悪くて笑ってしまった。滑り過ぎた。前に使ったチームが何らかのパウダーをまいたのだろうか。モップがけを結構な回数繰り返した。動作のチェック中心の「通し」は、いつも通りに。この時期になると、自分達は、ほぼ全てのリハーサルは「ローエナジー」モードになる。エネルギーを本番のために温存するためだ。
12/14 いわゆるリハーサルとしては今日が最後。ビデオ収録チームも稽古場に来てくれて、「通し」。映像として迫力のある画が撮れるカメラ位置を提案してもらった。。画を見ると納得なのだが、こういう位置が「おいしい」ポジションとは思わなかった。「外部の目」の力をここでも痛感した。明日から公演会場に入るので、スタッフもそれなりの数、稽古場に顔を出してくれる。いい緊張感。
12/15 公演会場の代々木パークSTUDIOに入る。朝から照明と音響の機材の搬入。それなりの分量になったので、照明機材だけでも4tトラックを使う。会場の白いフロアにムービングライトが整然と設置されていく様は、本当に興奮した。昼休憩後から、照明は「明かり」を作っていく。ムービングライトの動きのプログラミングは数時間にも及んだ。夕方からは仮組みした照明でダンサーや音響も加えてのリハーサル。いくつかの「宿題」も見えてくる。21:00の終了時には疲労困ぱい。仕込み日はだいたいこんなものだ。
12/16 昼に会場入り。照明チームは昨日のリハーサルでの修正点を早速対応している。とある照明機材に関しては、初期設定を変えるところから手がけている。午後からシーンを細かくチェックしながらのリハーサル。照明デザインも並行して行なう。 一気に完成度はこのセッションで上がる。昨日のリハーサルとは段違いの迫力とグルーブ。ライティング・デザイナーの畠中さんのセンスとスキルに、今回も本当に助けられる。陰を作る照明や「薄っぺらくない照明」というのは、映像収録を重視する今だからこそ、重要だと思う。深く考えずに明るくしただけの空間演出は、やはり印象に残らない。
12/17 明日は本番。今日の夜には、衣装もつけて、本番さながらのリハーサル(ゲネプロ)を行なう。もう既にかなりの手応えを感じているが、午後のリハーサルで、さらにどこまでの「風景」が見えるようになるのか。本当に楽しみでしかない。
(テキスト:石山雄三)
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PRODUCTION NOTE-08
12/6 一つのシーンを除いて、作品全体をざっと通してみる。またタメ(待ち)が必要なポイントが判明する。このツメの作業は慎重にとりかからないと、ショウ全体のグルーブにかかわるので、責任重大。 ダンサーの友人が、久々に陣中見舞いに来てくれたのだが、「居心地の良い現場ですね〜」とのこと。確かに、怒号は飛び交わない稽古場ではある。ムキになって「ダメ出し」をしまくるという環境でもない。「おもしろい」ショウが観たいという思いがあるだけだ。自分達はこれが普通だと思っている。
12/7 昨日の「通し」からの改善点をダンサーと話し合ってみる。アクションとアクションの「間」が詰まっていた箇所があったようだ。何秒あけるか?という細かい部分を調整する。加えて、極めてダンス的な動きが続く部分を再度確認。覚え違いをしているダンサーもいて、何だかおかしくなってしまった。だいたいは笑いながら、動きのフレーズの修正作業を行なっている。全体の8割くらいの「通し」は、さらにレベルアップしている。
12/8 石山のソロパートを含めて、初めて全てのシーンを「通して」みた。石山メインのパートは課題がまだ大アリだが、全体のグルーブのようなものも、このタイミングで確認しなければならないので、とにかくやってみる。流れとしては、かなりの手応えを感じる。この段階で、またダンサーの動きの解析力に助けられている。リハのビデオを観てても、修正ポイントを的確に把握してくれる。鈴木君と飯塚君は本当に優秀。
12/9 今日も「通し」をしてみる。今は、全体を見る方がとにかく先だ。微調整をしながら、さらにシーンとシーンを「踊らせ」る。ダンスパートのフレーズのルートやポジション等の再確認も行なう。もちろん「通し」は、昨日よりも勢いと「落ち着き」が増したものとなっていた。 衣装のチェックや打ち合わせも稽古場で行なう。一部衣装を着けて体を動かしてみたが、慣れないといけない部分もあるのが分かった。普段の稽古着での状態や、自分がどこを見ていつも体を動かしているのかに気付いたので、ちょっと不思議な体験でもあった。
12/10 動きの微調整に対応するダンサーは素晴らしい。今週、「気になるところ」を話し合って解消しているが、最大のポイントを今日解決した。ダンサー達に単純なアクションをフレーズの途中に挟み込んでもらったのだが、これが効果的だった。「わざとらしさの回避」と「振付」の狭間でいろいろと思いを巡らしている。 今日は、友人のベテランダンサーに、「通し」を見てもらった。、ダンサーの動きも「緊張感」が増していた。他人の目は本当に重要。
(テキスト:石山雄三)
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PRODUCTION NOTE-07
11/29 ゆっくりとしたテンポのシーンを、じっくりリハーサル。ここでもツメの作業に取り掛かることが出来た。動きのフレーズは設定されてるが、それがしばらくして壊れていくようなプロセスを提示することが出来そう。より踏み込んだアプローチが取れると思う。今後の発展に期待が持てる。
11/30 今日から二日間、スタジオを全日押さえて、メインの照明機材をセットしてシミュレーションを行なう。実際のムービングライトの存在感には圧倒された。その動くヘッドとダンサーの動きのコンビネーションの「おもしろさ」は、思惑通り。ユーモアあふれるシーンは、かなりの「破壊力」を持ちそう。本当に早く公演日を迎えてお見せしたい。 ヘッドの動きをプログラミングしてゆくライティング・デザイナー畠中さんは、もうゴッドハンドの領域。作業は異常に速く、アーティスティックなマインドにもあふれている。「仕事」をするなら、こういう人だ。スタジオで10時間以上も作業していたが、至福の時間。
12/1 昼間に前半のシーンの照明のテイストと、そのオペレーションについて話し合う。本番での「事故」を想定して畠中さんはシーケンスの組み方等を提案してくれる。こちらの原案からアレンジされた照明デザインになる。ただ「夢物語」ではなく、現実的なプランというものも本当に重要。彼の冷静な眼差しには、これまで何度も助けられている。 夕方に前半〜中盤のシーンの「通し」をしてみる。「間」の調整はしなければならないと感じたが、シーケンスの連なりは間違えていないようだ。シーンとシーンを「踊らせる」ことを考える段階にきている。
12/2 昨日までの「大仕事」の疲れが出たのか、なかなか作業は進まず。石山のソロパートを主に考えようとしたが、少ししかアイデアは出ず。しかもぼんやりとしたもの。大丈夫か? 「設計図」を一から引き直そうかとも思い始める。「光」見えない時には、待つしかないのか。
12/3 引き続きソロパートを考える。今日は1人で稽古場。前後のシーンを映像で何度も確認する。そして、想定していた動きのスピードを変えてみたり、それをリミックスしてみたり、動きを展開する場所を変えてみたり…の繰り返し。少しずつ動いてゆく中で、このシーンを手がけ始めた時の「コンセプトのようなもの」を思い出した。このアプローチで作っていけば、確かに「おもしろい」ものにはなる。そこを思い出せたので、ほっと一息。昨日今日の「もがき」も、まぁ意味があったかと思っている。
(テキスト:石山雄三)
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PRODUCTION NOTE-06
11/22 「出演者」としての石山を、長い時間考えたリハーサル。これまで他のダンサーの動きを設定することを優先してきたので、このあたりで自分自身の動きの展開を集中的に考えてみた。特にショウの最後と考えているシーンはフォーメーションの部分にもこだわっているため、なかなか難しいものとなりそう。作品の解像度が少しずつ上がってきているのを感じるが、「出演者」としては課題が目につく。
11/23 引き続き後半のシーンのリハ。動きのフレーズがだいたいまとまってきたので、繰り返し流してみる。突然始まるアクションを中心に組み立てているが、基本的には、空間全体広がる「スピード感」を重視している。 稽古場で、スタッフとプロモーションの効果的な方法なども話し合う。潜在的なオーディエンスへのアプローチは、確実な答えがある訳でもなく、難しい。「いま」っぽいやり方を聞いたりして、「なるほど…」の連続。世代や立場が違う人と話すだけで、「学び」は山のように得られるのを実感。
11/25 前半のシーンの構造はクリアになった。完成度を高める作業まで今日出来たので、本当に感慨深かった。 ダンサーの鈴木君と飯塚君は素晴らしい。「動作」がカットアップされていく「ダンス的」ではないシーケンスでも、動きのシンクロナイズをかなりの確率で成功させている。トラックのリズムに合わせている訳でもなく、だ。体内に「絶対時計」のようなものがあるのだろうか。 動きの順序等に「合理性」のないシーケンスを、いつもステージ上に登場させたいと願っているが、クオリティの問題から断念することも正直ある。「ばらばら」と「規律」が共存しているようなものだ。今回は、期待できる。
11/26 後半の重要なシーンのアウトラインがとうとう見えた。動きのフレーズのbpm、ダンサーのフォーメーション、共にベーシックとなるものだけだが、確定線が切れたと思う。ここからフォルムの調整をしていくことになる。これは時間がかかる作業かもしれないが、ここまで「完成形」が見えていれば、気は楽だ。フレーズはコントラストがはっきりとしたアクションがベースとなっているので、ダンサーの体には負担がかかるかもしれない。
11/27 夜、プロモーションについて、プロデューサーの田畑さんとミーティング。どういう事前情報があると、人は「ひっかかって」会場に足を運ぶのかという点を中心に、ディスカッション。映画とライブ公演のプロモーションの違いにも話は及んだ。『どこまで+何を「チラ見せ」するのがベターなのか?』という部分も、いろいろと教えてもらう。彼の言語化能力には本当に舌を巻く。とにかく、これは多くの方に観てもらいたい作品。何とか情報を行き渡らせたい。
(テキスト:石山雄三)
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PRODUCTION NOTE-05
11/15 各ダンサーのステージ上での移動パターンを分離して設定して、それを重ね合わせる手法をとってみた。フレーズをサンプラー内でループ再生して、トラックを制作する感じに近いだろうか。 ステージの実寸を取るため、大きめの稽古場ではあったが、図面を広げながらの作業でもあったので、汗だくになるようなリハでもなかった。ただクリエーションとしてはかなりの進歩が見られ、成果には少々興奮した。
11/16 ゆっくりとした動きが続くシーンを手がける。ダンサーの飯塚君がこちらのディレクションを理解してくれて、シーンとしての「解像度」は急速に上がった。体の部位の細かい位置調整を、即座にこなす彼の技術力には、脱帽ものだ。 丁寧な所作と乱暴なエネルギーを同居させたいところなので、なかなかダンサーを選ぶ振付だとは思う。そういうものを、最近のパフォーマンス作品では観ていない気もする。
11/18 下準備は重ねていたが、今日のリハで、一気に前半のシーンの「基礎工事」が完了した。しかもこちらの想定を越える結果だったので、ちょっと感動してしまった。ただリフレインやミニマルな変化をするフレーズが多かったので、ダンサー達は大変だったかもしれない。 いわゆるダンスっぽくなく、しかしアクションはつながっていく感じがはっきりと見えたので、方法論的には間違えてないディレクションだと思う。ステージ上での出来事は単純に見えるが、裏側には捨てざると得なかったフレーズの多いシーン・クリエーションが時にあるが、今回は、そのパターンだ。
11/19 「演技」のようなアクションが登場する中盤のシーンも、アウトラインがはっきりしてきた。昨日のリハと合わせて、山を登りつつある感触をつかむ。かなり熱狂している。ダンサーの鈴木君が素晴らしい存在感を発揮していくれた。ライティングとのコンビネーションも振付の中に明確に取り入れてあり、予想以上にシュールというか、「おもしろい」ものとなりそう。「遊び心」はショウには必須だが、配合バランスに関しては、こちらはかなりセンシティブ。このシーンは絶妙だと思う。
11/20 近所を歩きながら、脳内で今回の作品の流れをシミュレート。ずいぶんと長い「散歩」になる。いくつかの新規プランをひらめいたので、細かくメモを取りながら歩く。ディレクションのヒントは瞬時に消えてしまうことが多いので、即座にスマートウォッチに喋って音声入力している。ただ、これは正直いまだに恥ずかしい。しかし「それ」をつかめる時につかんでおかないと、二度とはこちらの頭には降りてきてくれないので、こうするしかない。ディレクションのアイデアが消えてしまうことほど怖いものはない。
(テキスト:石山雄三)
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